
個人で診療所を開設している先生の中には、今後の事業承継や分院展開、経営基盤の安定などを考える中で、「医療法人化」を検討される方もいらっしゃると思います。
ただし、医療法人の設立は、一般的な会社設立のように登記をすれば完了するものではありません。愛知県知事の認可を受けたうえで、設立登記や診療所の開設手続きなどを進める必要があります。
今回は、愛知県で医療法人を設立する場合の、説明会から認可申請までのおおまかな流れをご紹介します。
医療法人の設立には愛知県知事の認可が必要です
医療法人とは、病院、医師または歯科医師が常時勤務する診療所などを開設することを目的として、医療法に基づき設立される法人です。
愛知県内に主たる事務所を置く医療法人を設立する場合は、医療法に基づき、愛知県知事の認可を受けなければなりません。
個人診療所の医療法人化は、単に診療所の名義を個人から法人へ変更する手続きではありません。新たに医療法人を設立し、個人で運営していた診療所の資産・負債や契約関係などを整理したうえで、法人による診療所の開設へ移行します。
そのため、設立後の運営体制まで見据えた準備が必要になります。
愛知県では医療法人設立事務説明会への参加が必要です
愛知県では、医療法人設立事務説明会が、原則として年2回、5月頃と11月頃に開催されています。
医療法人を設立する方は、この説明会を受講する必要があります。参加対象者は、説明会の受講後、おおむね2年以内に医療法人の設立を予定している理事長または理事の就任予定者とされています。
説明会開催の詳細は、通常、開催月の前々月である3月頃または9月頃に愛知県のホームページへ掲載されます。
なお、説明会の受講から2年以上が経過した場合は、改めて受講が必要となるため、医療法人化を考え始めた段階で、設立を希望する時期と説明会の日程を確認しておくことが大切です。
説明会から認可までのおおまかな流れ
愛知県における医療法人設立認可の手続きは、おおむね次のように進みます。
1.医療法人設立事務説明会を受講する
2.定款、財産目録、事業計画、予算書などの申請書類を作成する
3.愛知県へ申請書の原稿を提出する
4.愛知県による内容確認を受け、必要な修正を行う
5.確認後の設立認可申請書を正本として提出する
6.愛知県医療審議会医療法人許認可部会による審議を経る
7.愛知県知事から設立認可を受ける
愛知県が公表している令和8年5月改訂の資料では、申請書原稿の提出期限が年4回設けられています。原稿提出後、内容確認や修正、本申請、医療法人許認可部会での審議を経て、認可までは数か月を要します。
提出期限に間に合わなかった場合や、書類の不足・記載漏れが多い場合には、次回以降の審査となることがあります。希望する時期に医療法人として診療を開始するためには、余裕を持った準備が必要です。
認可申請までに準備する主な書類
医療法人設立認可申請では、主に次のような書類を準備します。
・医療法人設立認可申請書
・定款
・財産目録、財産目録の明細書
・社員及び役員の名簿
・医療法人設立総会議事録
・医療法人設立趣意書
・開設する診療所の概要
・周辺概略図、敷地図、建物平面図
・不動産の賃貸借契約書や登記事項証明書
・設立後2年間の事業計画書、予算書
・役員及び管理者の就任承諾書
・医師または歯科医師の免許証の写し
このほか、診療所の資産や負債を医療法人へ引き継ぐ場合には、預金残高証明書、減価償却資産の一覧、借入金やリース契約に関する書類などが必要になることがあります。
必要書類は、診療所の土地・建物が自己所有か賃貸か、医療機器や借入金を法人へ引き継ぐかなど、個々の状況によって異なります。
申請書を作り始める前に、現在の診療所の資産、負債、契約関係を整理しておくと、その後の手続きを進めやすくなります。
設立認可後にも複数の手続きがあります
愛知県知事から設立認可を受けただけでは、医療法人として診療を開始することはできません。
認可後は、原則として2週間以内に医療法人の設立登記を行い、登記後は愛知県へ設立登記完了届を提出します。
さらに、法人による診療所の開設許可申請・開設届、個人診療所の廃止届、保険医療機関の指定に関する手続きなども必要になります。
医療法人の設立登記は司法書士、税務に関する判断や手続きは税理士、社会保険や労務に関する手続きは社会保険労務士の専門分野となります。
診療を途切れさせることなく法人運営へ移行するためには、行政書士だけでなく、関係する専門家や行政機関と連携しながら、全体のスケジュールを組み立てることが重要です。
医療法人化を考え始めた段階から準備を
医療法人の設立には、説明会の受講、申請書類の作成、愛知県による内容確認、医療審議会での審議など、複数の段階があります。
「いつ頃、医療法人として診療を開始したいのか」を決めたうえで、説明会や申請時期から逆算して準備を進めましょう。
スピカ行政書士オフィスでは、医療法人設立に向けたスケジュールの整理、必要書類のご案内、設立認可申請書類の作成、愛知県との事前調整などをサポートいたします。
登記・税務・社会保険などについては、司法書士、税理士、社会保険労務士等の専門家と連携しながら対応いたします。
医療法人化を検討しているものの、「何から始めればよいか分からない」という段階でも、お気軽にご相談ください。
※本記事は2026年8月現在の法令及び愛知県の公表資料に基づいて作成しています。手続きやスケジュール、必要書類は変更される場合がありますので、実際の申請にあたっては、愛知県及び関係行政機関の最新情報をご確認ください。

