医療法人は補助金を使えない?|歯科の省力化投資を姉妹で考える

行政書士の妹かよと中小企業診断士の姉ゆきこが、医療法人の補助金、MS法人、採択後の手続きを解説する6コマ漫画
医療と補助金について、姉妹で最初の確認ポイントを整理しました。

こんにちは。スピカ行政書士オフィスの矢口です。

「医療法人は補助金を使えないと聞いたけれど……」
「個人で開業しているクリニックなら使える?」
「MS法人から申請することはできるの?」

歯科医院の設備投資や分院開設を考えるとき、気になるのが補助金のこと。

中小企業省力化投資補助金(一般型)では、一定の要件を満たす「歯科医業を営む医療法人」が対象に含まれています。 ただし、法人の要件を満たせば、希望する設備がすべて対象になるわけではありません。事業内容や省力化の効果、設備の用途などの確認が必要です。第8回公募要領・補助対象者

今回は、IN ALIGNMENTで取り組む歯科医院・歯科医療法人の省力化投資支援を中心に、行政書士の妹・かよと、中小企業診断士の姉・ゆきこが、補助金を検討するときに大切にしたいことを話してみました。

まずは漫画で全体像をご覧ください。本文では、それぞれのポイントをもう少し詳しくご紹介します。

<!– ここに完成した6コマ漫画を画像ブロックで挿入 –>

1.設備の話から、その先にある想いへ

かよ: ねぇね、設備投資に補助金を使いたいときは、何から相談していただくとよいかしら。

ゆきこ: 「この設備を入れたい」というところからでも大丈夫なのよ。ただ、そのあとに少し聞かせてほしいの。「どうして入れたいと思ったんですか」「入れることで、何が変わりそうですか」って。

かよ: ねぇねは、そこから話が広がるのよね。カタログの話だけでは終わらない(笑)。

ゆきこ: でも、見積書と納期のところには、ちゃんと戻ってくるから安心してね(笑)。

スタッフの負担を減らしたい。患者さんと向き合う時間を増やしたい。設備投資の背景には、それぞれの医院の事情や、これからへの想いがあります。

補助金は、設備を買うこと自体を目的とするものではなく、制度が目指す取組を支援するものです。例えば、中小企業省力化投資補助金(一般型)は、省力化投資を通じた生産性向上や賃上げなどを目的としています。中小企業省力化投資補助金(一般型)公式サイト

「欲しい設備を補助金に合わせて説明する」前に、「実現したいことに合う制度を探す」。 私たちは、その順番を大切にしています。

2.「医療だから対象外」と、ひとまとめにしない

かよ: 制度を探すときには、申請する事業者の確認も必要ね。医療法人なのか、個人で開設しているクリニックなのか。

ゆきこ: そうね。「医療に関係しているから使えない」と、ひとまとめにはできないのよ。一方で、「個人事業主だから、どの制度でも大丈夫」とも決められないの。

ゆきこ: 例えば、中小企業省力化投資補助金の一般型では、歯科医業を営む医療法人も対象に含まれているのよ。

第8回公募要領では、歯科医業を営む医療法人について、次の要件が示されています。

  • 医療法第44条に規定する都道府県知事の認可を受けて設立されていること
  • 従業員数が300人以下であること

これは法人に関する対象要件です。さらに、補助対象外事業者に該当しないことや、事業計画・設備・賃上げ等の要件も確認する必要があります。医療法人であれば診療科を問わず対象になる、という意味ではありません。 第8回公募要領「2-1.補助対象者」

ゆきこ: 「新しい機器を入れる」だけでなく、どの業務にどれだけ時間がかかっていて、導入によって何が変わるのか。医院の実際の仕事の流れを、一緒に整理したいわね。

かよ: 「うちは使えますか?」というご質問には、何をしている事業者か、どんな設備を何のために使いたいか、その両方をお聞きする必要があるのね。

ゆきこ: ええ。「医療法人だから無理かしら」と諦める前に、今回の投資に合う制度があるか、一つずつ確認したいわね。

3.保険診療と、ほかの補助金との関係は?

かよ: 保険診療に使う設備についても、確認が必要ね。

ゆきこ: ここは制度によって扱いが違うところ。「保険診療だから一律に使えない」とも、「医療法人が対象だから、どんな設備でもよい」とも決めつけず、具体的な使い方を確認しましょう。

第8回公募要領では、公的医療保険からの診療報酬は、国の他の助成制度との重複に関する規定の中で除外されています。したがって、保険診療に使うことだけを理由に一律に対象外とする説明は適切ではありません。ただし、設備や事業の要件は別途満たす必要があります。第8回公募要領

かよ: それから、診療報酬の扱いと、補助金を二重に受け取る話も、分けて考えたいところね。

ゆきこ: そうね。ほかの補助金や助成金を利用している場合は、最初に教えていただけると、確認が進めやすいわ。

同じ設備代などに対する重複補助の制限だけでなく、ほかの補助金への申請・採択・実施状況が影響する場合もあります。経費を分ければ必ず併用できるとは限りません。

併用を考えるときは、両方の制度の条件を確認し、判断に迷う点は事務局へ照会することが大切です。 省力化投資補助金(一般型)についても、最新の公募要領にある対象外事業・対象外事業者の条件を確認します。公募要領・各種資料

4.MS法人も、名前だけでは判断できません

かよ: ねぇね、医療の現場では「MS法人」という言葉が出てくるのよ。メディカル・サービス法人の略で、医院の周辺業務を担う会社のことね。

ゆきこ: それは、法律で決まった法人の種類なのかしら。

かよ: いいえ、実務上の呼び方なの。株式会社や合同会社などの形で、建物や医療機器の賃貸、事務・経理の受託などを担うことがあるのよ。医療行為そのものを行う会社、という意味ではないの。

ゆきこ: そういうことなら、「MS法人だから申請できるか」だけでなく、その会社自身の事業として要件を満たすかを見ていく必要があるわね。

確認したいのは、購入名義だけではありません。

  • 誰が設備を購入し、所有するのか
  • 誰の事業に使うのか
  • 実際に誰が、どこで使うのか
  • 賃貸や業務委託など、法人間の関係はどうなっているのか

例えば、省力化投資補助金(一般型)では、専ら申請者以外の他者が利用する設備等の導入費用は対象外です。MS法人が購入しても、実際には別法人である医療法人だけが使う設備などは、この点を確認しなければなりません。第8回公募要領「3-2.補助対象外経費」

かよ: 名義だけをMS法人に変えればよい、という話ではないのね。

ゆきこ: ええ。実際の事業と設備の使い方に合わせて、制度の要件を確認しましょう。

5.採択通知は、振込通知ではありません

かよ: 採択されると、一つ大きな山を越えた感じがすると思うけれど、その後の手続きも大切ね。

ゆきこ: そうね。採択通知は、振込通知ではないの。例えば、省力化投資補助金の一般型では、採択後に交付申請をして、経費などを改めて確認されるのよ。

同制度では、採択時点で申請した経費の全額が認められるわけではなく、交付申請の審査で減額や全額対象外となる場合があります。また、契約・発注は交付決定日以降に行う必要があります。第8回公募要領

かよ: 今、頭の中でお財布が開きかけていたわ(笑)。

ゆきこ: いったん閉じていただいて(笑)。お祝いのお茶は先に、設備の発注は交付決定の後に、ね。

設備の導入や支払い、実績報告などを経て補助金の交付に進むため、それまでの資金をどう用意するかも考えておきたいところです。補助金の交付後にも、事業実施効果報告などの手続きが続きます。応募申請・交付申請の流れ

※ここでは省力化投資補助金(一般型)を例に説明しています。手続きの順序や契約・発注の時期は制度によって異なります。

6.想いとスケジュールを、進められる形に

かよ: 新しい診療所や分院なら、建物や許認可の予定も外せないわね。設備が届く日だけを見ていればよいわけではないもの。

ゆきこ: 事業計画と、資金と、手続き。別々に考えていると見えにくいけれど、一枚の日程表に並べると、「ここを先に確認しよう」が分かってくるのよ。

建物、許認可、設備の納期、支払い、補助金の手続き、資金調達。それぞれの予定がつながって、初めて実行できる計画になります。

例えば、省力化投資補助金(一般型)では、交付申請時点で建設中の実施場所などは対象外とされています。新しい分院への設備導入では、開院予定日だけでなく、交付申請時点の建物の状況も確認が必要です。第8回公募要領「補助事業の実施場所」

ゆきこ: 私は、その設備でどんな医院にしていきたいかも、一緒に聞かせていただきたいの。補助金を受け取った後にも、事業は続いていくから。

かよ: 私は、その計画を進めるために必要な書類や手続きを、一つずつ整えていきたいです。

ゆきこ: 一緒に考えると、「こうしたい」と「では、何を準備しよう」がつながるのよね。

契約や発注の前に、想いと制度を整えてみませんか

IN ALIGNMENT(インアライメント)は、中小企業診断士・藤田有貴子の「ふじたクリエイトスタジオ」と、行政書士・矢口佳容の「スピカ行政書士オフィス」による共同ブランドです。

歯科医院・歯科医療法人の中小企業省力化投資補助金(一般型)の活用を、事業面と制度面から支援しています。

藤田が医院の課題や設備導入の効果、事業計画・資金計画の整理を支援し、矢口が制度上の要件や必要書類、行政手続きなどを確認します。分院開設を伴う場合も、補助金の予定と開設に向けた手続きの予定を照らし合わせます。

採択後の交付申請・実績報告まで見通し、ご依頼の範囲に応じて伴走します。事業者さまご自身の計画と意思決定を大切にしながら、実行できる形へ整えていきます。

「何が対象になるのか」
「この日程で進められるのか」
「まだ考え始めたばかりだけれど、相談してもよいのか」

まとまっていないお話でも大丈夫です。設備の話からでも、これからの医院の話からでも。契約や発注の前に、まずは今考えていることをお聞かせください。

IN ALIGNMENTの支援内容・ご相談についてはこちら


本記事は、2026年9月15日時点で確認した公表資料に基づく一般的な解説です。制度の対象者・対象経費・手続き・募集状況等は変更される場合があります。申請にあたっては、該当する公募回の最新の公募要領・交付規程・FAQ等をご確認ください。個別案件の採択・交付を保証するものではありません。

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